2015/06/21
――――エニアグラムを勉強されて、お仕事でいかせた点などありましたら教えてください。
岩戸氏:クライアントの社長とたくさんお話をするなかで、この社長はタイプがいくつだっていうのが分かったら「こういう思考の傾向があるな」とか、「こういうコミュニケーションスタイルかな」と推測できるので、その方にあったアドバイスができるようになったと思います。
例えば、タイプ6の従業員の関わり方について、タイプ8の社長と話して「社長の伝え方は、従業員さんにとっては、すごく攻撃的に感じてしまいますよ、社長が思っているような頑張り方だけじゃないんですよ」ということをお伝えしたり。
これからやってみたいこととしては、採用から関わって、履歴書の写真や字から性格タイプを判断して、本当に会社が求めている人材の採用に貢献できるような提案がでいたらいいなと思っています。
――――現在は眼の前のクライアントのタイプを見分けて、その方に合ったアプローチやアドバイスをされていると。それは法律の知識に基づいたアドバイスとは違ったものなのでしょうか。
岩戸氏:社労士の業務には、労務相談もありまして、相談顧問という仕事がすごく増えています。社長とスタッフさんの関係性がうまくいっていないとき、早い段階で改善できればトラブルには発展しません。直接法律的なアドバイスではありませんが、法律に近しいと思います。トラブルに未然に防ぐためのものですから。
浅はかなんですが、以前は「労務相談って話を聞けば良いんでしょ」と。だけど、「話を聴く」ってすごく大変じゃないですか。聞いているだけじゃなくて、解決をしてあげなきゃいけない。
――――先生というお立場で聴くわけですしね。
岩戸氏:そうそう。「そうなんですか、へえ~、大変ですね」では、お金を払う意味もありませんし。聴いてもらうことで多少は満足するかもしれませんが、お金を払うほどじゃないですよね。解決に向けて何ができるかというところに、エニアグラムが役に立って来ている実感はものすごくあります。
――――エピソードなどありましたらお聞かせください。
岩戸氏:建設業にお客様が多いのですが、建設業界はタイプ8の社長が多いですね。なぜこんな風に激しく怒るのか、どうしてそんなにパワフルに人に向かってくるのかとか全然理解出来なかったですし、私自身、開業直後はタイプ8の社長に怒られて泣いてたり(笑)。
一見、怖さでしかなく、それが優しさだということにも気付けなかった。ですから「パワハラ注意してくださいね」とは伝えていましたが、タイプ8の本質を理解しないで伝えていたので、それでは社長と私の関係もうまくいかない。「私で怖いのだから、従業員さんはもっと怖いんじゃないですか」とか、そういう風にしか言えなかったんです。それがエニアグラムを学んで、伝え方が変わりました。
――――どんな風にお伝えするようになったんですか。
岩戸氏:タイプ8の社長は、その人の成長の為だと思って、10トンの積載量のトラックにどんどん荷物を積み込む。2トンの積載量のトラックにも、10トン分を積みこむ。それが公平だと。
人間のキャパシティも同様に、その人に合った負荷ではなく、一律に負荷を与えることが成長に繋がるのだと。現実はそうすることで、2トン分の積載量しかない人はポシャってしまう。同等の負荷をかけることが、全ての人を成長に導くことではないんですよ、という話をしたり。
――――社長の反応はいかがでしたか。
岩戸氏:分かっているのかいないのか「へえー、そうなのかなー」みたいな感じですが(笑)。ですがポシャって潰れちゃいますよ、みたいな言い方をすると、タイプ8ですから「痛み」には反応されているようですね。
急激にその社長が変化した、とかいうことはないのですが、身体で感じるようなものはあると思います。私との関係性という点においても、更に話しやすくなったかもしれないですね。