2015/05/12
――――エニアグラムをお仕事にどのように活かされているのでしょうか。
平良氏:キャリアカウンセリング、あるいはカウンセリングの今後の流れについて、日本におけるカウンセリングの第一人者である國分康孝先生監修の本に、「より短い時間で効果的、あるいは教育的なカウンセリングがこれからの主流になるだろう」というアメリカの論文が紹介されていました。
そうすると、これまでのような精神分析が、ちょっと廃れてくるだろうと。ただし、ベースは傾聴ですから、これとどう折り合っていくか、ひとつの大きな課題になると思います。
そこにエニアグラムがきちんと身についていると、傾聴しながら、同時にその人のこだわっている部分だとか、どこに課題があるかだとか、その人が今どんな状態なのかだとか。聴いていく中で、決め付けではないけれど対応していける部分、推定していける部分が出てきますね。
カウンセラーがそれなりの問いかけをしていくことで、相手も反応していく。自己理解が深まる。そうすることで、短い時間で効果的に活用していける。それが大きいだろうなと思います。
メンタルヘルスという観点でいうと、どの業界においても、人間関係が一番大きい問題なので、そうなるとこれはまさしくエニアグラムの領域だな、ということも分かりますね。
――――「推測を持ちながら聴く」ことと「傾聴を大事にする」。カウンセラーがエニアグラムを身につけることで、クライアントが気づきを得られやすくなるといえますか。
平良氏:それもありますね。カウンセラーがクライアントに対面した瞬間、(エニアグラムの)このタイプっぽいなだとか、語っている語りだとか、どこにこだわっているかだとか、ある程度見えてくる。
相談内容も、エニアグラムのタイプに近いものがあったりしますので。そうすると、効果的な問いかけが可能になります。何のために傾聴するのかという目的を考えたとき、目の前のクライアントが「こんな自分がいたのだ」という自己探求を支援するためとするならば、ただ黙って聴くのではなく、効果的な問いかけがものすごく大切になると思うのです。
――――クライアントが気づきを得る効果的な問いかけにより、カウンセリングにかける時間の短縮が見込めるということでしょうか。
平良氏:そうですね。これまで多くのカウンセラーの、特にはじめたばかりのカウンセラーは、クライアントと「どうどう巡り」をしてしまいがちです。「そのときどんな気持ちでしたか? そうですよね、つらいですよね」と一生懸命聴いているのですが。
「このあと、どう聴いたらいいの」と。何のために聴いているのか、よくわからなくなってきたり。同時に、自分の軸、自分自身がクライアントの話のどこに反応するかをあらかじめ知っておくと、(カウンセラー自身の)セルフコントロールができる。
――――カウンセラー自身の軸がとても大切になると。それにもエニアグラムが有効だということでしょうか。
平良氏:そうですね。「混同しない」とか「同情しない」とか、色々ありますけれどね。そのためには、ふだんから自分自身の成長、自己理解、自己受容、そういう成長をステップアップしておかなければいけないという視点でも、エニアグラムは効果的だと思います。